しくじり薬剤師 Bさんのプロフィール
全国チェーンの調剤薬局で働く、優しい性格が魅力の中堅薬剤師。地方への転勤を経験後、現在は関東地方でエリアマネージャーとして活躍。
オトコ薬剤師のステップアップの過程では、地方への転勤や転職の機会も多いかと思います。そんな慣れない土地ならではの“しくじり”をやってしまいました。今回、皆様にお伝えしたい授業テーマは、こちらです。
当時の私
数年前、とある地方の薬局に急遽、転勤が決まりました。慌ただしく引越しを終えて、慣れない単身赴任。新しい環境に慣れるのに必死でしたが、薬剤師としての経験もありましたので、周りにもすぐに溶け込めていたと思います。しかし、日々の業務に徐々に慣れて来たころ、今まで体験したことのない壁にぶつかったのです。
ある日、起きた出来事
ある日、この薬局に長く通う常連のおばあちゃんの投薬を行いました。私は初めてお話しするので、症状と最近の調子を聞いてみると…「いやさ、頭(あだま)悪(わり)くてな」かなり訛りがありましたが、地域特有のイントネーションの違いにも慣れきていましたので、理解できていたつもりでした。私は、おばあちゃんが謙遜の表現として“頭が悪い”という言葉を使っていると思い込んでいました。
私:「いやいや、おばあちゃん、そんなことないですよ」
おばあちゃん:「いーんや、もうずっど、頭(あだま)悪いんだわ」
私: 「悪くないですよ、そんな、受け答えもしっかりしていらっしゃるし」
おばあちゃん:「ん、なんだ?いづもの女子(おなご)だば、わいのごど知っどらぞ!」
そうやって、怒り出してしまいました。その様子を見ていた、事務さんが慌てて飛びだして来ました。「あらあら、おばあちゃん、頭(あだま)が痛いのよね」事務さんの言葉におばあちゃんは安心した様子。ん?悪い=痛い…はっ、そういえば処方箋を見るとロキソニンの文字が。
しくじりの気づき〜反省
地方特有の方言や訛りはあることはわかっていましたが、日常会話は理解できているつもりでした。ただ、投薬の中でその意味が変わるような言葉が存在することまで想像できていませんでした。薬剤師を10年間やっていた中で、改めて患者さんとの会話の大切さを痛感する“しくじり”でした。
訛りや方言は難しいが、なんとなく理解したつもりにならないようにしよう。特に体の痛みを知らせるような言葉のリストを作って対応できると薬剤師としてベスト。慣れないうちは、地元の事務さんに同時通訳してもらうのもいいかもしれません。