- ずっと飲むお薬だからこそ、気になることも出てくる。ネットで検索するだけでも情報はたくさん出てきますからね。センセイ、こんな時はどう対応したら良いのでしょう??
- はい、まずはコレステロールの薬を飲む理由から把握してもらいましょう!
★ ドクター チェック ★
- コレステロールの薬を飲まないといけない理由
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悪玉コレステロール(LDL)、中性脂肪(トリグリセライド)、善玉コレステロール(HDL)のいずれか、または複数に異常がみられる状態を脂質異常症と呼びます。
脂質異常症は、2007年から用いられるようになった名称です。以前は高コレステロール血症や高脂血症と呼ばれていました。
脂質異常症は動脈硬化を進行させて、心疾患や脳血管障害を引き起こすリスクとなります。
そのため食生活や運動、睡眠といった生活全般の見直しを行いながら、コレステロールの値を下げる薬を使うこともあるのです。
- なるほど。飲むのをやめると、動脈硬化や心疾患、脳血管障害のリスクを高めてしまうんですね!
- 脂質異常症は、動脈硬化や心疾患を引き起こす、もっとも重要な原因なんです。
- たかがコレステロール、されどコレステロール。放っておくと後でとんでもないことになりますね…(汗)
- そうなんです。大きな病気を予防するためにも、コレステロールの値を正常に保つ必要があることをまずは患者さんに理解してもらいましょう。
- 薬を飲む意味をまずは分かってもらうと。ふむふむ。
- でもコレステロールのお薬には重大な副作用があることも有名です。それが今回患者さんからの質問にあった“筋肉が溶ける”と言われている横紋筋融解症ですね。
★ ドクター チェック ★
- コレステロールを下げる薬の種類
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スタチン系製剤は、肝臓のコレステロール合成を抑える薬です。
副作用として、横紋筋融解症を発症させることがあります。
フィブラート系製剤は中性脂肪を低下させるお薬です。
スタチン系製剤と同じく、副作用として横紋筋融解症を発症させることがあります。
他にコレステロール吸収阻害薬や抗酸化薬、EPA製剤やニコチン酸誘導体などのお薬もありますが、これらのお薬では横紋筋融解症が重要視されることはあまりありません。
- スタチン系製剤とフィブラート系製剤で横紋筋融解症は起こりやすいんですね。
- コレステロール吸収阻害薬でも起こらないことはないのですが、因果関係がハッキリとは分かっていない状態です。
- ところで横紋筋融解症って具体的にどのような症状が起こるんでしょうか??
- 自覚症状としては「筋肉痛」や「疲労感」が多いです。「運動していないのに筋肉痛になっちゃってー…」と言われる患者さんはけっこういますね。
★ ドクター チェック ★
- 横紋筋融解症ってどんな症状が出る??
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横紋筋は筋組織を構成する筋肉のひとつで、骨格筋とも呼ばれています。
細長い筋線維の集まりで特有の横紋があり、随意運動に関係しているのが特徴です。
横紋筋融解症は、横紋筋の細胞に含まれる物質が大量に血液中に溶け出して、全身状態を悪化させる病気として知られています。
発症すると、初期は体(特に、筋肉が多い太もも)が痛くなることが多いです。
その後、手足の力が入らない、血尿が出るといった症状がみられます。
- 横紋筋の成分が溶け出しちゃうから「筋肉が溶ける」って言われるんですね。
- 横紋筋融解症の発症は、スタチン系製剤であれば4か月以内がもっとも多く、ほとんどが1年以内に起こると言われています。フィブラート系製剤は2週間以内が一番多いですね。こちらはほとんどの方が2年以内に発症します。
- ということは、今回のケースのように、すでに何年もお薬を飲んでいる方であれば、過度に心配する必要はないということですか?
- 理屈上はそうなりますね。でも可能性はゼロではないので、引き続き注意はしておかないとダメですよ。