- 両方とも、とても知名度が高い薬ですから、よくあるケースじゃないですかね?センセイ!どうすれば良いんでしょうか?
- こういう時は、薬の効能とリスクについて考えましょう!
★ ドクター チェック ★
- 頭痛薬として処方されても効果がない理由
-
アセトアミノフェンは、ロキソプロフェンナトリウムなどのNSAIDsと比べて抗炎症作用が低い、服用量が少ない、このような理由が考えられます。アセトアミノフェンの1日あたりの最大服薬量は、以前は500mgでした。現在は1,000mgまで引き上げられています。用量が少なかったために、頭痛に対して十分な効果を発揮できていなかったのではないかと考えられるでしょう。
- ふむふむ。この場合、アセトアミノフェンには、効き目か用量が少なかった可能性があるのか。
- そうなんです。2011年1月から最大服薬量が変わりました。だからそれ以前にアセトアミノフェンを使用されたことのある方だと「アセトアミノフェンは効かない!」というイメージを持っている方がおられるかもしれません。
- なるほど。そういえば海外ではだいぶ前から1回量の最大が1,000mgだって聞いたことがあるような??
- 良くご存知ですね!アセトアミノフェンは用量依存的に効果が高まるお薬なのに、なぜか日本では海外の半分までしか使えなかったんです。
- でも、効かないからと言ってむやみにアセトアミノフェンをロキソプロフェンナトリウムに変えるのはどうなの!?って思っちゃいますよね。
- はい、その視点が大事ですよね。患者さんの病態によっては、ロキソプロフェンナトリウムの使用が適さないこともあるので、そこはしっかり確認しましょう。
★ ドクター チェック ★
- アセトアミノフェンが効かないとき、ロキソプロフェンナトリウムに変えてもいい?
-
アセトアミノフェンが効かないとき、ロキソプロフェンナトリウムに変えると頭痛が和らぎます。
ただし、ロキソプロフェンナトリウムには胃の粘膜にダメージを与える副作用があるので注意しなければなりません。
インフルエンザのときにロキソプロフェンナトリウムを服用すると、インフルエンザ脳症を引き起こす恐れがあるのも大切な注意事項です。医師からアセトアミノフェンを処方されている場合、安易に市販のロキソプロフェンナトリウムに切り替えるのは控え、必ず医師に相談するよう促しましょう。
ロキソプロフェンナトリウムはアセトアミノフェンと同じく、痛みを引き起こす原因物質(プロスタグランジン)の生成に必要な酵素(COX:シクロオキシゲナーゼ)を阻害し、痛みを和らげる作用があります。この作用はアセトアミノフェンより強いため、痛み止めとしてロキソプロフェンナトリウムを使う方も多いものです。
しかしプロスタグランジンには、胃粘膜を保護する作用もあるため、ロキソプロフェンナトリウムの服用によって胃の粘膜が荒れる恐れがあります。
- ロキソプロフェンナトリウムの方が痛み止めの効果は強いものの、胃腸障害が出やすいので注意が必要になるんですね。
- はい。それからインフルエンザの可能性がある方にもロキソプロフェンナトリウムは使えないのは、絶対に覚えておかないといけません。
- そういえばインフルエンザの患者さんに「アセトアミノフェンじゃ弱いからロキソプロフェンナトリウムちょうだい!」って言われたことが前にあったなあ。
- インフルエンザ脳症は小児で起きやすいものだけど、成人でも死亡例があるので安易に変えるのはとってもリスキー!絶対に患者さんの背景を確認しないとダメです。
- ロキソプロフェンナトリウムはアセトアミノフェンよりも効き目が高いけど、注意点も多いってことですね。