

女性薬剤師中心の店舗を渡り歩いてきた
Aさんの「女子力」は要チェック!
一方で、同意獲得は論理的なアプローチが光ります。
早速インタビューしてみましょう。
よろしくお願いいたします。噂によるとAさん、女子力が高い、とお聞きしていますが?
そうですね(笑)、ずーっと、女性薬剤師に囲まれる職場に勤めていましたから。常に孤独なオトコ薬剤師だったので、今日はオトコ薬剤師の方とお話しできて嬉しいです!
そうなんですね!では、日頃の愚痴も聞かせてください(笑)
最初に、“かかりつけ薬剤師指導料”の話を聞いたときは、どう思いましたか?
毎回、春に陥りがちなんですけど、制度が先に回ってしまうんですよね。
基準加算や点数が変わったこと、つまり数字にばかり意識が向かいました。あとは具体的に何をすればいいのか、わからない!怖い!(笑)という感じです。
なんだか、薬剤師あるあるな気がしますね(笑)
他の薬局もそうなんじゃないかな?手探りで始まりました。1つ1つ噛み砕いていくと「なんだいつも通りじゃないか」、と気づいたかな。患者さんにとっては、ぜひ導入した方がいい制度だな、と。
同僚の、かかりつけ薬剤師さんの反応はどうでしたか?
「かかりつけ薬剤師って、ホントよくわからないわね!」と、女性陣から日々文句を受けていました(苦笑)。彼女たちも今では、楽しんでますけどね。
責められているAさんの様子が目に浮かびます(笑)では、当てはまりそうな患者さんの具体的な顔が浮かびましたか?
はい、気になる患者さんはいましたね。一包化したり、印字の要望が細かく対応に注意しないといけない患者さんがいましたね。10人くらいかな。
スタート直後はどうでしたか?
3ヶ月間くらいは忙しかったですね。まずは他の店舗でどう行っているのか、ヒアリングしました。会議ですとか、社内イントラネットを活用しましたね。
そうなんですね!それはポジティブな反応ですね。
ええ、かかりつけ薬剤師のニーズは案外、幅広い層にあることに驚きました。
ただ、全員への声がけはうまくいかなかったこともあります。同じ人に何度も勧めてしまったり、とかですね。その後、薬歴に履歴を残したりして、改善していきました。
なるほど。試行錯誤しながら、改善していく過程があったのですね。
では、薬剤師で同意を取れる人、取れない人。どんな違いがあると思いますか?
同意を取れない人は、単純に消極的な薬剤師だと思います。自分をアピールするのが苦手な人ですね。自分を含めて、薬剤師に本当に多いですね(笑)。なので文言を決めて、必ず制度を説明するように促すと、どんどん同意を取れるようになりました。フォローがなくても取れちゃう人もいますね。話し上手で見た目も美人の管理薬剤師さんなんですけど。まあ、これは才能で参考にならないかもしれないんですけど・・・(笑)
才能がなくても、ルーティン化できれば取れると。では、Aさんご自身が説明をする際に、気をつけていること、必勝パターンがあれば教えて下さい。
患者さんも最初はイメージが湧かないので、「かかりつけ医の薬剤師バージョンなんですよ」と言ってますね。あとは、「こんな制度ができたので、もし良かったら、担当させてください」と言ってました。ポイントは、言い切ること。「どうしますか?」と聞いちゃうと「やっぱりいいや」となってしまう人も多いので。
なるほど、語尾を少し変えるだけで、印象が違いますね。

同意が取れている患者さんの年齢・性別とは?
あまり違いはないですが、多いのは話好きな方。やはり、お歳を召した女性かな。稀に役職好きな人がいるので、薬局長ご指名があります(笑)その時は出番ですね。
役職好き!面白いですね(笑)患者さんとしては、薬局長が一番優れている、と思うものなのかも。
そうですね(笑)選ばれなきゃいけない、という感覚が初めてだったので、この1年は本当に新鮮な気持ちで仕事をしましたよ。
患者さんとのエピソードは何かありますか?
薬の管理ができていない患者さんが多いのを、実感できるようになりました。「お医者さんには言えないんだけどね…」、と告白してくれます。あとは「孫がねえ、そういえば息子嫁の話なんだけどね」と、家族の話をしてくれる患者さん。その繋がりから、次第にご家族のお薬も任されるようになりました。以前の事務的なやりとりから、人間対人間になって来た感覚がありますね。
患者さんと良好な関係性を築けていますね。かかりつけ薬剤師になって、大変なことはありますか?
もともと、24時間の対応はしていますし、問い合わせが増えたとは言っても、気を使ってくださるのか、ちゃんと営業時間内に来ることが多いので、今まで通りですかね。地域貢献活動もチャレンジしています。健康フェアを開いて、血圧測定とか、栄養士さんを呼んで栄養相談をしたり。スーパーの前でイベントを行うので、文化祭気分でみんなで企画しています。
これから“かかりつけ薬剤師”になる人に向けて、伝えたいことはありますか?
私自身もそうですが、周りの薬剤師さんが変わったな、と思いますね。自分の担当の患者さんの存在は、責任感が生まれます。患者さんの数が多い薬局ですが、「あ!私の患者さんがきた!」と、ドアが開いた瞬間に反応する薬剤師を見かけるようになりました。私自身は、接客が苦手で、アルバイトなども工場勤務とか飲食店の裏方が好きで“作業系”を選んできたタイプ。ですので、最初はネガティブな気持ちもあったのですが、今は服薬指導が楽しいですね。チャレンジする意義があると思います。
“かかりつけ薬剤師”になるオトコ薬剤師たちが何か学んだ方がいいことはあったりしますか?
必要なのは知識じゃないと思います。自分から患者さんへ寄り添う気持ちになる。制度だから、言われたからやるのではなく、相手のために何かをしてあげたい、と思って接して行くことが大事ですよね。あ、強いて言うなら、私がうまく同意を獲得したり、コミュニケーションが取れるようになったのは、女性薬剤師の真似をしたことです。飲んでる薬の話から、天気の話、家族の話と広げていく。日常から会話を広げる能力と言うんでしょうか。最高の見本が、薬局には居ることを、オトコ薬剤師の皆さんにお伝えしたいですね(笑)


とにかく多くの人へ勧めることから始めて、課題を改善してきたAさん。積極的な姿勢が、気づきを生む好例ですね。そして女性薬剤師に囲まれてきたAさんらしい発言が印象的!かかりつけ薬剤師のヒントは“女性薬剤師とのコミュニケーション力”に隠れているのかもしれません。